3-2黒字リストラと赤字リストラの違い|会社の出方と交渉の余地(第2節/全4節)
交渉の余地はどう違うか
経営不振を理由にした解雇(整理解雇)では、裁判例で①人員削減の必要性、②解雇を避ける努力、③人選の合理性、④労働者側との十分な協議、が重視されます。
黒字の会社が整理解雇まで進むには、①の必要性をどう示すかが問題になります。このため黒字リストラの多くは、解雇ではなく「希望退職の募集」や「退職勧奨」という、社員の同意を得る形をとります。同意が前提である以上、応じない選択肢は残ります。一方で、応じる場合の条件(割増退職金、有休の買い取り、退職日、再就職支援)について、交渉の余地があるかを確かめる価値もあります(第9章)。
赤字の会社では、①の必要性は認められやすくなります。ただし②〜④を欠く解雇は、赤字でも無効とされることがあります。どちらの場合も、有効かどうかは個別の事情によって判断が分かれます。
自分の会社がどちらかを見分ける
- 上場企業:決算短信・有価証券報告書で、直近の最終損益と今後の見通しを確かめます。希望退職の募集は、適時開示で発表されることがあります。
- 非上場企業:会社が公表している決算、社内の説明資料、取引先の動向などから推し量ります。
- 発表の言葉:「構造改革」「事業ポートフォリオの見直し」「成長分野へのシフト」は黒字リストラで、「収益改善」「固定費削減」は赤字リストラで使われやすい言葉です。
失業給付での扱いの注意
会社が人員削減のために行う希望退職の募集に応じた場合と、以前から常に設けられている早期退職優遇制度に応募した場合とで、失業給付での扱いが分かれます。前者は特定受給資格者(いわゆる会社都合)になりうる一方、後者は該当しないとハローワークの基準に書かれています。自分の募集がどちらに当たるかは、会社の説明資料で確かめ、分からなければハローワークに聞きます(第11章)。
相談先
- 総合労働相談コーナー(都道府県労働局・労働基準監督署)
- 労働組合(社内の組合、または一人でも入れる地域の合同労組)