9-1退職勧奨の面談の向き合い方|断り方と退職合意書の確認点(第1節/全3節)
この章の要点
- 退職勧奨は会社からのお願いで、断ることができます。その場で答える必要も、書類にサインする必要もありません。
- 応じるかどうかを考えるために、条件は書面でもらい、持ち帰って比べます。
- 退職合意書では、①退職理由(会社都合か自己都合か)、②割増退職金の額と支払日、③有休の扱い、④退職日、⑤競業避止・秘密保持・清算条項、を必ず確かめます。
面談で何が起きるか
退職勧奨の面談では、一般に次のような流れがよく見られます。
- 会社の状況の説明(業績、組織の見直し)
- 本人の評価や役割についての説明(「今の部署では役割が用意できない」など)
- 希望退職や退職の提案と、条件の提示
- 回答の期限の提示
面談は1回で終わらず、複数回にわたることがあります。回を追うごとに条件が変わることも、配置転換などの話が出ることもあります。
その場で答えない・サインしない
- 答えは持ち帰る:「家族と相談して、条件を確かめてから返事をします」と伝えれば十分です。
- サインしない:退職合意書、退職届、誓約書などは、面談の場で出されても、持ち帰って読みます。
- 条件は書面で:口頭で言われた条件は、書面かメールで出してもらうよう頼みます。出してもらえない場合は、自分で記録します(第7章)。
断り方
断る場合は、はっきり、短く伝えます。
- 例:「退職するつもりはありません。今の仕事を続けたいと考えています」
- 理由を詳しく説明する義務はありません。
- 断ったあとも勧奨が続く場合は、そのつど記録します。
退職勧奨は、本人が自由に判断できる範囲でのみ許されます。何度も呼び出す、長時間にわたる、大声や威圧を伴う、断っているのに執拗に続けるといった勧奨は、違法な退職強要とされることがあり、損害賠償が認められた裁判例もあると解説されています。どこからが違法かは、回数・期間・言動など個別の事情で判断されます。こうした状況になったら、総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください。