第17章再就職支援会社と転職エージェントの違い|誰の味方か
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この章の要点
- 再就職支援会社は、リストラをする会社(元の勤務先)が費用を払い、辞める社員の再就職を支援します。
- 転職エージェント(有料職業紹介事業者)は、採用する会社から成功報酬を受け取ります。求職者からは、一部の例外を除いて手数料を取れません。
- お金の流れを知ると、それぞれの助言がどちらの利益に寄りやすいかが見えます。どちらも使い方しだいで役に立ちます。
お金の流れで見る違い
| 再就職支援会社 | 転職エージェント | |
|---|---|---|
| 費用を払う人 | リストラをする元の会社 | 採用する会社(採用が決まったときの成功報酬が一般的) |
| 本人の負担 | 原則なし | 原則なし(法律で求職者からの手数料徴収は原則禁止) |
| 支援の中身 | キャリアの棚卸し、書類の添削、面接練習、求人の紹介、事務所の貸し出しなど | 求人の紹介、書類・面接の助言、企業との条件交渉の代行 |
| 支援の期間 | 契約で決まる(数か月〜1年程度が多いとされる) | 決まりはない(紹介できる求人がある間) |
| 相手の利益 | 元の会社との契約を果たすこと、再就職の実績 | 採用を決めること(成功報酬) |
「支援の期間」「支援の中身」は会社ごとに違います。
転職エージェントの手数料の決まり
職業安定法により、有料職業紹介事業者は原則として求職者から手数料を取れません。例外は、芸能家・モデルと、年収700万円を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者です。求職者に費用を求められたら、何の費用かを確かめます。
儲けの仕組み(2026年9月時点で確かめた数字)
転職エージェント(有料職業紹介)
- 誰が払うか:採用した会社が、紹介会社に手数料を払います(求職者からは取れないのが原則。上の「手数料の決まり」)。
- いくらか:厚生労働省の集計では、2024年度の有料職業紹介の手数料収入は約9,835億円で、常用就職1件あたりの手数料は約103万円でした。
- 手数料率:多くは、採用された人の見込みの年収に対する割合で決まる、とされます。2024年4月からは、紹介会社ごとに職種別の手数料率の実績などを、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開する仕組みになりました。
- 返戻金:採用された人が短期間で辞めた場合に、手数料の一部を会社に返す「返戻金制度」を設けている紹介会社が多く、その有無も同サイトで公開されています。
つまり、エージェントの収入は「あなたが採用され、一定期間辞めないこと」で確定します。採用の見込みが高く、年収の高い人ほど、紹介会社にとって大事な顧客になりやすい仕組みです。
再就職支援会社(アウトプレースメント)
- 誰が払うか:リストラをする元の会社が、支援会社に費用を払います。本人の負担は原則ありません。
- 会社への助成:事業の縮小などで離職する社員の再就職を支援会社に委託した会社には、国の「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」の仕組みがあります。
- 何で評価されるか:元の会社との契約を果たすこと、そして再就職の実績です。支援会社の実績の数字(再就職率など)は、何を分母にしているかで意味が変わります(第18章)。
料率・手数料・助成の中身は変わることがあります。最新の数字は、人材サービス総合サイトや厚生労働省の案内で、自分で確かめてください。
それぞれの利益と、気をつける点
再就職支援会社
- 費用を払っているのは元の会社です。支援会社は元の会社の依頼を受けて動いている、ということを前提にします。
- 支援の中身は、元の会社との契約で決まっています。何がどこまで受けられるかを、説明会で確かめます(第18章)。
- 求人の紹介は、支援会社が持つ求人や、提携するエージェントの求人が中心になることがあります。自分で探すルートも並行して持ちます(第21章)。
転職エージェント
- 報酬は採用が決まったときに入るのが一般的です。助言がどちらに寄りやすいかは、下の「数字の目標」を参照してください。
- 報酬は年収に連動することが多いとされ、年収交渉を代行してくれる動機にもなります。
- 担当者との相性や、年齢によって紹介される求人の量が変わります(第19章)。
どちらにも「数字の目標」がある
再就職支援会社にも転職エージェントにも、会社としての売上や実績の目標があり、担当者にもノルマのような数字の目標があると言われます。支援者が悪いということではなく、仕組みとしてそうなっていると知っておくことが大事です。
- 転職エージェント:採用が決まって初めて報酬が入るため、決まりにくいと見た人(年齢・経歴・希望条件などから)は後回しにされ、連絡が減る例があると言われます。逆に、決まりそうな求人には、本人が迷っていても応募や内定の承諾を強く勧めてくる例も紹介されています。
- 再就職支援会社:元の会社との契約で、再就職の実績(就職率など)が問われます。そのため、本人の希望に沿わない求人でも「決まる」求人を当てはめて勧めてくる例があると言われます。
示された再就職先は「あなたの例」ではない
説明会などで「こういう会社に再就職しています」と示される実績は、ほかの人の例です。年齢、職種、スキル、住んでいる地域、家族の事情が違えば、同じ結果になるとは限りません。安心材料にしないことが大事です。自分に当てはまるかは、自分と似た条件の人の例(年齢・職種・年収の変化)を具体的に聞いて確かめます(第18章)。
利用した人の声の傾向(口コミの例)
リストラや早期退職で再就職支援会社や転職エージェントを使った人のブログ・体験記・相談サイトには、次のような声が繰り返し見られます。一人ひとりの体験で、誰にでも当てはまるわけではありません。
- 再就職支援会社
- 書類の書き方や面接の練習、事務所の利用は役に立った
- 紹介された求人は、年収などの条件が転職エージェント経由の求人より低いことが多く、結局は自分で探した求人サイトで決まった
- 再就職までに半年以上かかった
- 就職が決まりやすい求人(契約社員や派遣を含む)を勧められ、希望と違うと感じた
- 転職エージェント
- 50代になると、登録しても紹介される求人がほとんどない、連絡が来なくなった
- 決まりそうな求人では、応募や内定の承諾を急がされた
- 担当者によって、親身さや業界の知識に大きな差があった
- 前職の肩書きではなく、実務ができるかを問われると言われた
どちらも、声の内容は「仕組み」(上の「儲けの仕組み」と「数字の目標」)と重なります。使うときは、仕組みを知ったうえで、自分の判断で使い分けます。
使い分けのコツ
- 両方を使う:再就職支援会社のサポートを受けながら、転職エージェントやハローワーク、知人の紹介も並行します。
- ハローワークも忘れない:公的な職業紹介で、費用はかかりません。失業給付の手続きとも一体です。
- 勧められた理由を聞く:求人を勧められたら、「なぜこの求人が自分に合うと考えたか」を聞きます。
- 決めるのは自分:どの支援者も、最終的な判断の責任は負いません。
相談先
- ハローワーク(公的な職業紹介。費用はかからない)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」(紹介会社の手数料率などの公開情報)
この章で記録しておくこと
- 利用した支援会社・エージェント・ハローワークの名前、担当者、連絡した日
- 受けた説明(支援の内容、期間、費用の有無)
- 紹介された求人と、勧められた理由
この章のチェックリスト
- 再就職支援会社と転職エージェントのお金の流れの違いを理解した
- 支援会社の支援内容と期間を確かめる予定を立てた
- 転職エージェントに費用を求められていないか確かめた
- ハローワークにも登録した
- 各支援者とのやり取りを記録している
- 支援会社やエージェントの「実績」や勧めを、そのまま自分に当てはめていない
事実の確認表
| 主張 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|
| 有料職業紹介は原則として求職者から手数料を取れない。例外は芸能家・モデル、年収700万円超の経営管理者・科学技術者・熟練技能者 | 石川労働局「職業紹介事業の概要」https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/syoukai_gaiyou.html /内閣府 規制改革会議資料 | 2026-09-30 |
| 再就職支援会社の費用は元の会社が負担 | 業界の一般的な仕組みとして解説が一致 | 2026-09-30 |
| エージェントの報酬は成功報酬・年収連動が一般的 | 業界の一般的な解説 | 2026-09-30 |
| 2024年度 有料職業紹介の手数料収入 約9,835億円、常用就職1件あたり手数料 約103万円 | 厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026-03-31公表)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf(原本を読んで確認) | 2026-09-30 |
| 2024年4月から紹介会社ごとの職種別手数料率の実績・返戻金制度等を人材サービス総合サイトで公開 | 厚生労働省 資料 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001622750.pdf ほか(本章では検索結果の要約で確認) | 2026-09-30 |
| 労働移動支援助成金(再就職支援コース)の仕組みがある | 厚生労働省・各労働局の案内(本章では制度の存在のみ紹介、助成額は未確認) | 2026-09-30 |
| 利用者の声の傾向 | 体験記・相談サイト(下の「参考にした記事」)。個人の体験で、統計ではない | 2026-09-30 |
参考にした記事
- 労働新聞社「手数料徴収を拡大 有料職業紹介で検討 政府」https://www.rodo.co.jp/news/26370/(求職者手数料の規制)
- 内閣府 規制改革会議 雇用WG資料 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/koyo/130411/item4.pdf(職業紹介の手数料の仕組み)
- ものづくりエンジニアの仕事探し「【利用経験者が語る】再就職支援会社の実態と活用法」https://job.ana-dig.com/summary3/(利用者の体験)
- 同「【希望退職】再就職支援サービス利用で何ヶ月で再就職できたか?」https://job.ana-dig.com/employment7/(再就職までの期間)
- ボブボブジョブレスライフ「再就職支援サービスを受けた~実態は?」https://bobboblife.com/support-for-reemployment/(利用者の体験)
- Yahoo!知恵袋「早期退職募集って、嫌ならば会社にしがみついてもいいんですよね?」https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11315147301(当事者の相談)