第22章転職前のスキルの棚卸し|経験・技術・求人サイトを使う力
この章の要点
- 棚卸しは「何をしてきたか」ではなく、「次の職場で何ができるか」の形に言い直す作業です。
- スキルは、①どこでも通じる力(持ち運べる力)、②専門の知識・技術、③資格・ツール、に分けて書き出します。
- 求人ポータルサイトは、検索条件の組み方と、求人票の読み方で、見つかる仕事が変わります。
棚卸しの手順
- 職歴を年表にする:会社・部署・役職・期間を並べます。
- 仕事ごとに書き出す:担当した業務、関わった人数、扱った金額・件数、使った道具。
- 成果を数字にする:売上、コスト削減、期間短縮、件数、品質、人数。数字がない仕事は、前後の変化を言葉で書きます(「月末の締め作業を3日から1日に」など)。
- 困難と工夫を書く:何が難しく、どう乗り越えたか。面接で聞かれる材料になります(第24章)。
- 次の職場の言葉に言い直す:社内用語や自社のシステム名を、一般的な言葉に置き換えます。
スキルの3分類
① 持ち運べる力
業界や会社が変わっても通じる力。例:人をまとめる、交渉する、問題を整理して手順を作る、数字を読む、教える。
② 専門の知識・技術(テクニカルスキル)
職種に固有の力。例:経理の決算業務、生産管理、特定の機械の保守、法務、ソフトウェア開発、営業の業界知識。
③ 資格・ツール
資格、語学、使えるソフトウェア(表計算、会計ソフト、業務システム、プログラミング言語など)。「使える」の程度を具体的に書きます(例:「関数とピボットテーブルで月次の集計表を作れる」)。
足りない技術があれば、公的職業訓練(ハロートレーニング)なども選択肢です(第21章)。
AIで棚卸しを手伝ってもらうプロンプトの例
ChatGPT・Gemini・Claudeなどの対話型AIに、質問役をしてもらうと、自分では気づかない経験を掘り起こしやすくなります。次の文を貼り付け、〔 〕の中を自分の情報に置き換えて使います。
あなたはキャリアカウンセラーです。私のスキルの棚卸しを手伝ってください。
私は〔50〕歳で、〔製造業の会社〕で〔28〕年働いてきました。主な経歴は次のとおりです。
〔例:営業8年→営業企画5年→購買課長10年→品質保証部長5年〕
進め方:
1. 経歴の時期ごとに、私に質問を3つずつしてください。担当した業務、関わった人数、扱った金額や件数、使った道具、難しかったことと工夫を聞き出してください。一度に聞くのは1問ずつにしてください。
2. 私の答えから、成果を数字で表せるものを見つけ、「前→後」の形で書き直してください。数字がないものは、変化を具体的な言葉で書いてください。
3. 最後に、スキルを「どこでも通じる力」「専門の知識・技術」「資格・ツール」の3つに分けて表にしてください。
4. 社内用語や自社のシステム名は、他社の人にも通じる一般的な言葉に言い換えてください。
注意:私が言っていない経験や数字を作らないでください。分からないところは質問してください。
うまく引き出せたら、続けて次のように頼むと、応募先に合わせた整理ができます。
次の求人票の「必須」と「歓迎」の条件に、さきほどの棚卸しのどの経験が当てはまるかを表にしてください。当てはまらない条件は、どう補えるか(学ぶ・近い経験で説明する)も書いてください。
〔求人票の本文を貼り付け〕
AIに入れてはいけないもの:前の会社の社外秘の情報(顧客名、取引条件、売上の内訳、社内の数字など)、同僚や取引先の個人情報、自分のマイナンバーや口座番号。数字は割合や規模感に置き換えて入れます(第10章)。AIの出した文は、事実と違う点や盛りすぎた表現がないか、必ず自分で確かめてから使います。
求人ポータルサイトを使いこなす
- 検索の言葉を増やす:職種名は会社によって呼び方が違います。棚卸しで出てきた業務の言葉(「債権管理」「品質保証」「購買」など)で検索します。
- 条件を段階的にゆるめる:最初は希望どおり、見つからなければ勤務地・年収・雇用形態の順にゆるめる、など順番を決めておきます。
- 求人票の読み方:「必須」と「歓迎」を分けて読みます。必須を満たしていれば、歓迎を全部満たしていなくても応募する価値はあると言われます。
- 年齢の記載:募集・採用で年齢を制限することは、原則として禁じられています(例外あり)。求人票に年齢制限がある場合は、例外にあたる理由が書かれているはずです。
- 新着の通知を設定する:条件を保存し、新着をメールなどで受け取ります。
- 経歴の登録:スカウト型のサービスでは、棚卸しで作った言葉を登録すると、検索で見つけてもらいやすくなります。
相談先
- ハローワークの職業相談、キャリアコンサルタント(棚卸しの手伝い)
この章で記録しておくこと
- 棚卸しの表(職歴・業務・数字・困難と工夫)と、作った日付
- 検索に使った言葉と条件、見つかった求人の数
- 足りないと感じた技術と、学ぶ手段
この章のチェックリスト
- 職歴を年表にした
- 仕事ごとの成果を数字で書き出した
- スキルを3分類で整理した
- 社内用語を一般的な言葉に言い直した
- 検索条件を保存し、新着の通知を設定した
- AIに質問役を頼み、棚卸しの抜けを埋めた(社外秘は入れていない)
事実の確認表
| 主張 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|
| 募集・採用での年齢制限は原則禁止(例外あり) | 労働施策総合推進法にもとづく厚生労働省の案内として広く知られる(本章では原典未確認) | 2026-09-30 |
| 棚卸しの手順、スキルの分類、検索の技術 | 指南記事の一般的な方法 | 2026-09-30 |
参考にした記事
- 厚生労働省「ハロートレーニング」https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/about(技術を補う公的な手段)