4-3会社がリストラする理由|金利上昇・AI・社会保険料の負担(第3節/全6節)
経済から考える:なぜ中高年が対象になりやすいのか
会社の側の損得を、経済の考え方から見ると、中高年が対象になりやすい理由が見えてきます。
年功型の賃金カーブ
日本の会社の多くは、年齢や勤続年数とともに賃金が上がる仕組みです。厚生労働省の2024年の調査では、男性の賃金は55〜59歳で月44.4万円とピークになり、20〜24歳の約1.9倍でした(女性は45〜49歳の月29.8万円がピーク)。
「後払い」という考え方
経済学には、若いうちは仕事の貢献より低めに払い、中高年になってから貢献より高めに払うことで、長く勤めてもらう仕組みだ、とする説明があります(賃金の「後払い」説)。この見方に立つと、会社が長期雇用を約束しにくくなったとき、貢献より賃金が高くなりやすい中高年が、人件費を減らす対象として真っ先に挙がりやすいことになります。ただし、これは一つの説明のしかたで、すべての会社や人に当てはまるわけではありません。
会社全体の損得
- 固定費としての人件費:売上が伸びない中で、人件費は簡単には減らせない固定費です。社会保険料の会社負担も含めると、1人あたりの費用は給与の額面より大きくなります(上の「理由3」)。
- 将来の費用も見られる:定年延長や再雇用で、65歳まで(努力義務では70歳まで)の費用も見込む必要があります(第15章)。
- 割増退職金は一時の費用:一度に大きな費用がかかっても、数年分の人件費が減れば、会社にとっては元が取れる計算になりやすい、と説明されます。黒字の会社が厚い条件を出せるのはこのためです(第6章)。
自分に置き換えると
会社から見て、自分の賃金に見合う貢献が見えているかが問われます。貢献していても、それが周りや上司に見えていなければ、数字の上では「賃金が高い人」としか映りません(第5章)。