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第4章会社がリストラする理由|金利上昇・AI・社会保険料の負担

節ごとに読む:4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6

POINT

この章の要点

理由1:金利が上がっている

日本銀行は、2026年6月に政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)を0.75%程度から1.0%程度へ、9月には1.25%程度へ引き上げました。

金利が上がると、会社には次のような影響が出ます。

金利の上昇が直ちにリストラにつながるわけではありません。ただ、固定費である人件費を見直すきっかけの一つになりうる、というのがよく指摘される点です。

理由2:AIなどで仕事の中身が変わる

生成AIなどの広がりで、事務、文書作成、問い合わせ対応、プログラミングなどの仕事の進め方が変わりつつあります。

厚生労働省の2025年版労働経済白書は、AIなどへの投資で事務的な業務を軽くし、労働生産性を上げる必要性を強調しています。一方で、AIによって雇用が大幅に減っているという裏付けは現時点では得られていないとし、海外ではソフトウェア開発やカスタマーサービスなどで雇用が減った例と、新しい事業で雇用が生まれた例の両方がある、と整理しています。

会社の側から見ると、次のような動きにつながる例がよく紹介されています。

自分の仕事がAIでどう変わりうるかを考えることは、残る場合にも、転職する場合にも役に立ちます(第22章)。

理由3:社会保険料を含む人件費が重い

会社は、給与に加えて社会保険料の半分を負担しています。

このため、会社にとって社員1人にかかる費用は、給与の額面より多くなります。給与の高い中高年の社員ほど、会社から見た人件費は大きくなる、という点が、中高年を対象にした希望退職の背景としてよく挙げられます。

経済から考える:なぜ中高年が対象になりやすいのか

会社の側の損得を、経済の考え方から見ると、中高年が対象になりやすい理由が見えてきます。

年功型の賃金カーブ

日本の会社の多くは、年齢や勤続年数とともに賃金が上がる仕組みです。厚生労働省の2024年の調査では、男性の賃金は55〜59歳で月44.4万円とピークになり、20〜24歳の約1.9倍でした(女性は45〜49歳の月29.8万円がピーク)。

「後払い」という考え方

経済学には、若いうちは仕事の貢献より低めに払い、中高年になってから貢献より高めに払うことで、長く勤めてもらう仕組みだ、とする説明があります(賃金の「後払い」説)。この見方に立つと、会社が長期雇用を約束しにくくなったとき、貢献より賃金が高くなりやすい中高年が、人件費を減らす対象として真っ先に挙がりやすいことになります。ただし、これは一つの説明のしかたで、すべての会社や人に当てはまるわけではありません。

会社全体の損得

自分に置き換えると

会社から見て、自分の賃金に見合う貢献が見えているかが問われます。貢献していても、それが周りや上司に見えていなければ、数字の上では「賃金が高い人」としか映りません(第5章)。

ほかによく挙げられる理由

指南記事や報道、会社の発表でよく挙げられる理由を、分類して並べます。実際には、いくつかが重なっていることがほとんどです。

株主・資本市場からの要求

事業と組織の組み替え

人の構成と人件費

外部の環境

どの理由が当てはまるかは、会社の発表(中期経営計画、決算説明資料、適時開示)で確かめられることが多いです。「なぜ今、自分の会社が」を知ることで、どの部署や年齢層が対象になりやすいかが見えてきます。

理由を知ってどう使うか

相談先

記録

この章で記録しておくこと

CHECK

この章のチェックリスト

出典

事実の確認表

主張 出典 確認日
日銀は2026年6月に政策金利を0.75%程度→1.0%程度、9月17・18日の会合で1.25%程度へ引き上げ 大和総研「日銀、利上げを決定」(2026-09-18)https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20260918_026078.html /マネックス https://media.monex.co.jp/articles/-/29863(日本銀行の公表文は本章では未確認) 2026-09-30
2025年版労働経済白書:AIで事務的業務を軽減し生産性向上を、AIによる雇用の大幅減少の裏付けはない、創出と喪失の両方の例 同白書の報道(OANDA マーケットニュース)https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/kn_2025093001000627/(白書本文は本章では未確認) 2026-09-30
厚生年金保険料率18.3%(2017年9月から固定)、労使折半 協会けんぽ 保険料率の案内 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/public_relations/013 ほか 2026-09-30
健康保険料・介護保険料は労使折半、協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごと 同上 2026-09-30
東証が2023年3月31日、プライム・スタンダードの全上場会社に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請(2026年4月28日に要請を更新) 日本取引所グループ https://www.jpx.co.jp/news/1020/20230331-01.html / https://www.jpx.co.jp/news/1020/20260428-01.html 2026-09-30
ほかの理由の分類(物言う株主、ファンド、統合、拠点再編、ポスト不足、若手賃上げの原資など) 報道・指南記事でよく挙げられる例(統計の裏付けはない) 2026-09-30
男性の賃金は55〜59歳で444.1千円がピーク(20〜24歳=100で189.6)、女性は45〜49歳298.0千円がピーク(2024年) 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」性別にみた賃金 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/dl/02.pdf(原本を読んで確認) 2026-09-30
賃金の「後払い」説 労働経済学で知られる説明の一つとして紹介(特定の文献の数字は使っていない) 2026-09-30
参考

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